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✿ i piccoli campi ✿

プレーンな生活。小さな幸せ。

Le Fils de l'Autre (もう一人の息子)

Le fils de l'autre (2012) - IMDb

 

監督

ロレーヌ・レヴィ
脚本
ヴィルジニー・ラコンブ
ラファエル・ベルドゥゴ
出演
エマニュエル・ドゥヴォス
パスカル・エルベ
ジュール・シトゥルク
メーディ・デービ
アレーン・オマリ 他
2012年 アラビア語・英語・フランス語・ヘブライ語 110分

 

フランス語の勉強のために、フランス映画を探していて、見つけたのがこちらの映画。
あらすじなど、ほとんど知らないまま観始めたのですが、とても考えさせられる映画で、そして何度も観返したくなるような映画でした。

 

舞台はイスラエル。
シルベルグ夫妻には、18歳になる息子のジョセフがいます。
イスラエル国防軍に従軍するため、様々な審査を受けていたジョセフですが、その過程の1つであった血液検査で、ある問題が発覚します。
両親の血液と自分の血液が一致しないのです。
何かの間違いではと思い、DNA検査もしてみますが、その結果はやはり、残酷なものでした。
ジョセフが産まれた病院が原因を調査したところ、ジョセフが産まれた日の夜、空爆による混乱が起き、その中でジョセフともう一人の赤ちゃんが取り違えられてしまったことがわかりました。
ではジョセフの本当の両親は、シルベルグ夫妻の本当の息子はどこにいるのでしょう。
病院側は彼らの居場所を探し当てましたが、そこは敵対するパレスチナ自治区、彼らはパレスチナ人でした。

 

赤ちゃんの取り違えなど、あってはいけないことです。
けれどそのような悲しい出来事は、今までもたくさん起こって、今現在でも起こっている可能性もあります。
自分の本当の両親を見つけられないまま、そして取り違えられたことも知らないまま、血の繋がらない家族と一生を過ごしてきた、または今現在過ごしている人たちもいるでしょう。
ただそこに、人種や宗教が絡んできたら、どうでしょうか。
ただでさえ複雑な問題が、さらに複雑なものに…。
「母親なら自分の息子くらい分かるだろう」というような事を、ジョセフの父親が奥さんに言うシーンがありました。
ですが、赤ちゃんを取り上げられたその直後に、自分の赤ちゃんの姿をまず見ることなく、空爆から避難をし、落ち着いたところで「あなたの赤ちゃんですよ」と言われたら、そしてその赤ちゃんがすでに取り違えられた別の赤ちゃんだったら、どうでしょうか。
白人夫妻から黒人の赤ちゃんだったり、または逆だったり、両親と赤ちゃんに決定的な違いが無ければ、分からないかもしれませんね。
成長する過程で、「あれ?」と思うことはあっても、生まれたばかりの赤ちゃんですから…。
イスラエルとパレスチナ、敵対するそれぞれの相手に、2つの家族が歩み寄ります。
でもやっぱり、足が止まってしまう、でも歩み寄らなければ、というもどかしさがありました。
でもそこには、家族の大きな暖かさ、家族だからこその絆があって…。
それぞれに、それぞれの思いがあって、そしてそれらはどれも間違いではないと思いました。
血で繋がっているから家族、そして血が繋がっていなくても、家族なんですね。
だって、当たり前のように赤ちゃんの時から18年も一緒にいたんですもの。
家族は血が全てではないです。
この映画の終わり方には、もしかしたら疑問を抱く人もいるかもしれないけれど、私は個人的に、とても良い終わり方だったかなと思います。
最後の終わり方の余韻に浸りながら、家族について、絆について、色々な事を考えることもできました。