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✿ i piccoli campi ✿

プレーンな生活。小さな幸せ。

くちづけ

🎬 日本の映画

映画 くちづけ - allcinema

 

監督
堤幸彦
脚本
宅間孝行
出演
貫地谷しほり
竹中直人
宅間孝行
田畑智子
橋本愛 他
2013年 日本語 123分

 

邦画か洋画か、というと、私は圧倒的に洋画の方を多く観てしまいます…。
そんな私が、今のところ邦画の中で一番好きなのが、この映画です。
私には叔父/伯父が何人かいますが、その中の一人、私の父の末弟は、私にとってはもう一人の父親のような存在です。
小さい頃、兄と私はモトクロスをしていて、父が兄に指導している間、叔父が私に指導してくれてました。
また、当時週末も仕事をしていた父に代わって、父親代わりとして兄と私を遊びに連れてってくれたのも、その叔父でした。
兄と私にとっては、遊びをよく知っていて、そして厳しさも持っている叔父。
そんな叔父は、年をとるごとに涙もろい叔父さんに変化していきました(笑)。
数年前、高校受験を控えた叔父の末っ子に英語を教えるため、週に1度のペースで叔父の家へお邪魔してたのですが、レッスンが終わった後、叔父からこの映画を勧められました。
「どんなお話なの?」とこちらから尋ねる前に、叔父からおおまかなあらすじを教えてもらったんだけど、その最中にも叔父の目がウルウル(笑)。
いつの間にか映画好きになってた叔父にびっくりしつつ、帰宅してからこの映画を観ました。

 

知的障害者のためのグループホーム、「ひまわり荘」。
ここには、障害を持ちながらも前向きに、そしてそんな彼らを暖かく、時には厳しく指導しながら、家族同然に支え合うスタッフ達がいます。
ある日、そのひまわり荘に、新しく仲間が加わります。
かつて人気漫画家として活動していた、愛情いっぽん、そして彼の娘で、知的障害を持つ娘のマコです。
いっぽんは、住み込みでひまわり荘に働くようになり、もちろんマコもひまわり荘で生活をし始めました。
ひまわり荘のある意味リーダー的な存在、うーやんは、マコに恋をします。
そしてマコも、そんなうーやんの真っ直ぐな愛情に、徐々に心を開いていきます。
汚れのない、純粋な純粋な、2人の恋。
キラキラ輝く2人の笑顔。
ですが、一歩下がって現実を見ると…うーやんという存在のため、婚約破棄になったうーやんの妹。
そして、ひまわり荘の経営も苦しくなっていき、更には、いっぽんが病気を患っていることが発覚…。
ひまわり荘の中にいれば、障害がある、無い、に関わらず、春の陽気のようなあたたかな愛情に包まれています。
けれど現実は、まるで真冬の凍てついた空気のように、容赦なく厳しさを伝えてきます。
自分はもう長くは生きられない…健常者ではない一人娘のマコをどうすればいいのか…。
大切な大切な愛娘のために、悩み抜いた末、いっぽんはある決断を下しました。

 

この映画で、私がとても感動したのは、その撮影方法にもありました。
もともと劇作品で、「舞台史上一番泣ける」という話題の作品のようで、この映画は、観ていると、映画ではなくて舞台を観ているようなのです。
実際に劇場で、間近で、「くちづけ」という作品を観ている、そんな感じに思えました。
だからこそ、余計に臨場感があって、もちろん出演している役者さんたちの演技力も凄いですが、どんどん惹き込まれていきます。
まるで、ものすごく間近でひまわり荘のみんなを見ているみたいな…そんな感じ。
私は健常者で、身内もみんな健常者です。
知的障害者、または身体障害者の方々に、もちろんお会いしたことはあります。
小学生の時、その小学校のクラスの1つに、「なかよし」という名前の知的障害者と身体障害者の為のクラスが設けられてました。
そのクラスは、少人数なので、1クラスに1年生から6年生までの生徒が在籍し、彼らが参加可能な行事があったりすると、健常者のクラスの生徒が迎えにいったり、または「なかよし」の先生が、対象の生徒を連れてくることがありました。
小学生ですから、もちろん彼らをからかう生徒も多かったです。
私と同学年の生徒で、3名が「なかよし」に在籍してました。
その中でも一番覚えているのが、ミヤコちゃんという女の子。
彼女は知的障害、そして身体障害も少しあったかもしれないです。
彼女の体について詳しいことは聞かされていませんでしたが、彼女はいつもおむつをつけていて、視力も悪く、体こそ普通の子たちと同じように成長してましたが、振る舞いなどは幼稚園児、または未就園児のような感じでした。
私の通っていた小学校は、浜辺が近く、秋になると浜辺で焼き芋大会をしたりしました。
さつまいもを濡れたティッシュで包み、さらにホイルで包んだものを持ってくる、というのが宿題でした。
浜辺の石をうまく利用して、各自持参したさつまいもを、浜辺に作った窯に入れ、出来上がった焼き芋をみんなで食べました。
その時、一人一人が窯から焼き芋を取るのですが、ミヤコちゃんはどうしていいか分からないので、私がミヤコちゃんに焼き芋を手渡しました。
その時のその瞬間の写真が、なぜか撮影されていて、アルバムに残ってます。
ミヤコちゃんや、「なかよし」のクラスの生徒たちと触れ合えたことは、私にとっては大切だったように感じます。
「どうしてあのクラスの子たちは、普通と違うの?」と、少学校低学年のとき、母に尋ねたことがありました。
「普通ってなぁに?」と逆に訊かれた覚えがあります。
その時、返答にとても困りました。
健常者であることが、普通ではないのですね。
健常者も障害者も一緒。
「普通」、「普通じゃない」と分けることは、とても簡単なことだけど、そうやって分けること自体、おかしいことなのかも。
今は医療が充実してもいるので、健常者として生まれてくることは、とても高い確率です。
けれど、どの赤ちゃんも、障害をもって生まれるリスクが少なからずあるはず。
…実際に、自分の子供が障害を持っていたら、と思う妊婦さんが、ほとんどではないでしょうか。
この映画は、ある実際の出来事をモチーフにして作られた作品のようです。
親として、親だからこそ、障害を持った子供に対してどう接していくべきなのか…。
賛否両論あるかと思います。
でも正解なんて、ないんじゃないかな…、どの決断が正解だ、とは断言できない、難しい問題を扱っている作品だと思います。
この映画を観るには、覚悟が必要です。