✿ i piccoli campi ✿

プレーンな生活。小さな幸せ。

The Great Blue Yonder(青空のむこう)

著者

アレックス・シアラー
2002年 英語 192ページ

 

https://www.amazon.co.jp/Great-Blue-Yonder-Alex-Shearer/dp/0330397001

 

学生時代、ある時から英語の勉強が楽しくなり、学校の授業や宿題以外でも、英語を勉強していたいと思うようになりました。
塾などに通うお金も時間もあんまり無かったので、洋書を読むようになりました。
自分の力で英語を勉強しよう!と決心し、その一歩として最初に購入したのが、この本です。
今も独学での語学勉強には、洋書を読むことは必須としていますが、持っている洋書の中で、この本はとても思い出深いものです。
私は、とくに日本語の本だと、小説は好んで読みません。
どちらかというと、世界史の本や、ノンフィクションを好んで読んでしまいます。
なので、この小説を読み始めたときは、少し気持ちがしっかりと読書することに向いてなかったのですが、すぐに本の内容にハマってしまい、読むのが止まらなくなってしまいました。

 

主人公のハリーは、ある日突然、交通事故で亡くなってしまいます。
気づくとそこは、天上の世界。
たくさんの亡くなった人たちが列を作っていました。
自分が亡くなったことを認識している人もいれば、何が起こったのかわからず混乱し、周りにイライラを当たり散らす人も。
ハリーはそこで、アーサーという少年に出会います。
服装からして、アーサーは随分昔に亡くなった、ハリーと同じような年頃の少年でした。
徐々に、自分が死んだことを認識したハリーは、1つだけ、とても大きな後悔に苛まれます。
それは、自分が死ぬ直前、お姉ちゃんとケンカをして、ひどい事を言ってしまったこと。
そしてアーサーもまた、心に気にかけていることがありました。
自分を産んだと同時亡くなってしまった、アーサーのお母さん。
手掛かりは、お母さんが着ていたブラウスに着けられていた、真珠のボタンだけ。
2人はそれぞれ、遣り残したことを終わらせるミッションに出かけて行きます。

 

この本を読み始めた時、それまでアメリカ英語しか習っていなかったので、イギリス英語独特の表現や表記に戸惑いました。
今では、イギリス英語を想像して読み進めていくことも、この本の魅力と感じてます。
ハリーという少年が語りとして話が進んでいくのですが、子供ならではの考えというか、大人だったらそうは思わないよなぁ、っていう、新鮮な驚きがたくさんありました。
子供だからこそ、確信を突く鋭い指摘があったり、ただ小説を読んでいるというよりかは、ハリーという少年が実際に綴った回顧録、またはハリーが語りかけているような、とても生き生きとした描写です。
兄弟姉妹が仲が良いことって、とても良い事ですよね。
私には兄が一人います。
小さい頃は、とても仲が良くて、兄は私を「自分の宝物」と周囲に行ってくれていたようです。
私は物心つくような頃から、周囲に存分に甘やかされ、わがまま三昧となり、私が何かをやらかせば、叱られるのはいつも兄でした。
そんなことが続き、兄との仲は険悪になり、ついには一緒に家にいても、ほぼ話をしない、目さえ合わせないほどになってしまいました。
親からよく言われていたのは、「お前たちは、世界でたった2人の兄妹なんだから。」。
…実は、私の我儘のせいで、兄と私の仲が険悪になってしまったあとも、お互いに気にし合っていたようで、私が学校の用事で帰りが遅くなったり、社会人になって以降も仕事で帰りが遅くなったりしたときに、誰よりも私の事を心配していたのは、兄だったそうです。
そして兄の仕事が危険を伴うことから、家族や身内のなかで兄のことを一番心配していたのは、どうやら私のようでした。
兄に彼女が出来たとき、彼女から、「お兄ちゃん、あなたのことばっかり話すんだよ。自慢の妹なんだ、って!」と聞きました。
普段は、目も合わせないし会話だって皆無なのに。
そんな兄は、私が婚約者(今の主人)を家に連れて来たとき、積極的に挨拶をしれくれました。
主人とは、婚約期間がとても長くなってしまい、私のいないところで、両親がポロッとその事を話題にし、半ば愚痴のような感じで兄に話したことがあったそうです。
その時兄は、私と主人に対する愚痴に怒り、「2人を悪く言うな!」と両親を叱ったそうです。
思えば、兄は、私が小学生時代にイジメを受けたとき、どんな手を使ったのかわかりませんが、イジメた私の同級生を探し出し、半ば脅すようにものすごい形相で凄んだことがありました。
私が中学生時代に、喘息の発作で意識不明になり病院へ運ばれたとき、普段はとても冷静な兄が、先生からその事を伝えられ帰宅するよう指示を受けるやいなや、取り乱しながら荷物をまとめて一目散に家に帰ったこともありました。
国際結婚をした私と主人、1ヶ月という主人の来日期間の間に、入籍の手続きをし、そして私の身内の中で、大切な人の癌の手術もあり、とても結婚式を挙げることなどできませんでした。それでも、身内のみんながささやかなパーティーを開いてくれた時、中でも一番の思い出は、兄がセッティングした、私と主人、両親と兄だけの、オシャレな焼肉店でのディナー。それだけでもとても嬉しかったのに、兄はその日、別のお店でケーキを購入し、事前に焼肉店にお願いして、ケーキを置かせておいてもらってました。ディナーが終わるころ、席を立った兄。お店の奥から、兄が用意したケーキが運ばれてきました。両親と兄に見守られながら、私と主人はケーキをカットしました。どんな豪華な結婚式の、どんな美しいウェディングケーキよりも、私にとっては、兄がその時に用意してくれたケーキが、何よりも豪華で美しいものでした。
兄弟姉妹の仲は、親と子の仲とはまた違った、特別なものですね。
日本を離れてアメリカで暮らすようになった今も、兄の事を私は心配しています。
仕事中に怪我をしてないかどうか、お菓子ばかりじゃなくてちゃんとしたご飯も食べているか、とか。
ハリーとハリーのお姉ちゃんの会話や、2人がお互いを思いやる心情は、とても心に刺さりました。
色々な温かい気持ちが、切ない気持ちと一緒に押し寄せてきて、涙が止まらなくなる本です。
何度も読んで、結末だって分かっているのに…純粋な気持ちに心が洗われるような…そんな感じがします。
おすすめです。