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✿ i piccoli campi ✿

プレーンな生活。小さな幸せ。

Monster(モンスター)

🎬 アメリカ・ドイツの映画

 映画 モンスター - allcinema

 

監督・脚本
パティ・ジェンキンス
出演
シャーリーズ・セロン
クリスティーナ・リッチ
ブルース・ダーン
アニー・コーリー
リー・ターゲセン 他
2003年 英語 109分

 

「ウィキペディア」という便利なものに出会ってからというもの、私は日々、歴史上の人物などを中心に、どんな人生を送り、どんな最期を迎えたのかを調べるのが、趣味の一つとなってしまいました。
そして、段々と、怖いもの見たさの心理から、俗にシリアルキラーと呼ばれる人たちがどんな人物だったか、どんな人生を歩んでいったのかとか、そういうのを調べるようにもなり、この映画の主人公、アイリーン・ウォーノスも、その過程で知ることになりました。

その時はただ、文字で書かれきれいにまとめられ彼女の人生を読んでそれで終わりだったのですが、この映画の宣伝を観て、主演女優のシャーリーズ・セロンの変貌ぶりに驚き、俄然興味をそそられて、この映画を観ることにしました。
シャーリーズ・セロンといえば、長身で、ブロンドの美女、クールなイメージが多いですけど、この映画では彼女の見た目の美しさはどこにもありません。
荒れた肌、たぷっとしただらしない体に、お世辞にも良いとは言えないみだしなみ…。
それもそのはず、彼女はこの役のため、体重を13キロも増やし、メイクには毎回1時間半から2時間かけていたそうです。
女優魂をすべて注いだ彼女の演技に、どんどん惹き込まれていきました。
「モンスター」という言葉を聞いて、私は最初、最初は自己防衛の為だったとはいえ、その後も殺人を犯してしまう娼婦のアイリーンのことを指しているんだろうなと思っていましたが、だんだんと、それは違うのでは…と感じていきました。
人一倍愛情に飢えているのに、不運な環境の下では、その心を満たすものを見つけることはとても難しく、どうにか毎日生きていた不器用なアイリーン。
もしも、彼女がもっと違う環境にいたのならば、出会う人々が違う種類の人たちであったなら、と思わざるを得ません。
彼女は、本当はとてもとても、純粋な心の持ち主だったんじゃないかな、って思いました。
アイリーンが最後まで愛していた、心の拠り所だったセルビー。
彼女こそが、私はこの映画の意味する「モンスター」だったんじゃないかと思います。
もちろん、殺人なんていけないことです、絶対にしてはいけないことです。
けど、殺人をしてしまった人すべてが「モンスター」なのか…。
誰の心のなかにも、きっと「モンスター」は潜んでいるんじゃないかと思います。
セルビーを見ていて、…どこか、「こういう人、いるかも」と感じました。
最初は人を頼って、当てにして、いいように使って…まるで駒のように人を使って、状況が悪くなったら、自分は知らん顔。
自分自身に火の粉がかからないよう、必死に工作し、何食わぬ顔で毎日を過ごす…本来は元凶なのに、自分は潔白であるかのように。
嘘ですべてを固める能力が高くて、きっと、自分でも、自分がどこまで嘘をついて、何が本当なのか、分からなくなってしまって、嘘の中に生きているような感じの人たち。
普通にしている人こそ、モンスターかもしれないですね。
私は、自分の過去の経験から、セルビーのようなモンスターに振り回された辛さがわかります。
振り回されているのに、それでも相手を信じてしまって、どうにか力になろうとした馬鹿な自分がそこにはいました。
自分がしたことに後悔は無いし、嘘だらけのモンスターと同じにならず、ひどい目に遭わされ、貧乏くじを引かされたけれど、嘘をつかずに正直であった自分で良かったとは思いますが。
恐ろしいのは、そのモンスターの周りも、モンスター予備軍だということでしょうか。
もちろん、モンスターの正体をすでに見抜いている人たちの数のが多いですが、…モンスターは、相手を取り込んで、ほぼ洗脳してしまうのが上手いので…。
同じ状況であったとしても、もしもセルビーに出会わなければ、アイリーンはどんな人生を送っていたのかな。
シリアル・キラーのアイリーン・ウォーノス。
恐ろしい、狂気の人物であったけれど、…どこか彼女の人間性に、惹かれてしまうというか…、純粋な心の持ち主だったのではないかと思う自分がいます。